公開: 2020年3月16日
更新: 2020年3月16日
斐伊川は、現在の島根県の中央部を中国山地から日本海まで流れる川です。斐伊川の上流地域の中国山地には、鉄分を多量に含む岩が産出します。その岩が、雨で斐伊川に流され、急な川底を流れるうちに削られて、細かな鉄の粉末である砂鉄になってゆきます。鉄は、他の物質よりも重いので、斐伊川の川底に沈んで堆積します。
この斐伊川は、天照大神の弟で、出雲の国に遣わされた素戔嗚(すさのお)命が、退治したとされている大蛇である八岐大蛇(やまたのおろち)のモデルであると言われています。斐伊川は毎年、氾濫(はんらん)するので、人々を困らせていました。人々は、村の若い娘を生贄(いけにえ)として、生きたまま斐伊川へ投入れていたそうです。スサノオは、斐伊川に堤防を作り、氾濫しないようにしたのではないかと考えられています。スサノオが退治したヤマタノオロチの胴を切った時に、そこから取り出した剣は、斐伊川から取れる砂鉄だったと考えられています。